香を愉しむ
香炉 金森映井智氏 / 香盆 林鶴山氏
香十徳
はじめに
お香はお寺にとって、また私自身の生活にとっても常に身近で、なくてはならない大切なものです。勝福寺ではご本尊への供香には特に気を遣い、良質なものを使用することを心がけております。良いお香には、邪気を祓い、心を清浄にさせる作用が伝えられます。このコーナーでは、御香の素晴らしい文化をより多くの人に気軽に楽しんで頂ければと作ってみました。
お香については、以前に私が書いた連載コラム「義空間から発信するいっぷくの煎茶」第7回〜第8回でもご紹介しております。こちらも併せてご参考ください。
◆用意するもの
香具は本格的なものがあれば理想ですが、ホームセンター等で代用出来るものも随分あります。
●香炉…香炉は大切なお道具なので、品の良いものを選びましょう。
@香道具入れ…この箱一つあれば、何処でも気楽にお出掛け出来ます。
A灰がら入れ…使用済みの御香などを掃除する際に、あれば便利です。
B抹香入れ…香を焚くときの火床に使用します。これはお香屋さんなど専門店で購入しましょう!
C香合・御香…お香入れのことです。香合は大事な道具なので、確かなものを使いましょう。お香には伽羅・沈香・白壇・龍脳・線香などたくさんの種類がありますが、写真はそれらをGikooh好みにブレンドしたものです。お香の薫りに慣れてくると、季節によって薫りを変えたりすることが出来、楽しみ方が広がります。例えば秋なら、まろやかな薫りに仕上げるとか。
D下敷き…カレンダーを使っています。
E筆…掃除用です。絵筆で代用しています。
F匙…香を盛る際に使用します。
G灰押さえ…左官が使うコテみたいなものです。違う大きさのものが2つほどあれば便利でしょう。
H抹香押さえ…抹香の通る道を作ります。
I灰均し…灰をならすときに使用します。
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先ず香炉に灰を盛ります。(灰は仏壇店などで買えます)
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灰を盛ったら、灰押さえで平らに均していきます。
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硬すぎず柔らかすぎず押さえることがポイントです。
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綺麗に均せたら、抹香押さえで御香が燃える火道を付けます。
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火道は、香炉を置いて正面から見た時に「コの字」になるようにします。また短時間くゆらせる時は「一文字」、長時間くゆらせる時は「己の字」など、所用時間に合わせて変化を持たせます。因みにこの香炉の大きさでコの字にした場合の燃焼時間は、約50分です。
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香道を付けたら、匙でその中に抹香を少しずつ入れていきます。
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抹香を入れ終わったら、灰押さえで軽く表面を整えます。
次に抹香押さえで、コの字をなぞるように押さえます。この加減が香のくゆる時間を決める大事なポイントです。硬すぎると途中で火は消えてしまい、柔らかすぎると短時間で燃えてしまいます。これは慣れるしかありません。
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「コの字」の始めの部分に抹香をわずかに盛ります。ここが点火口(火を付ける場所)です。
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次に、回りに散った灰や抹香を筆で綺麗に掃除しましょう。
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そして、コの字上に御香を盛ります。あまり盛りすぎないようにしましょう。
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出来上がり。点火口に線香などで、静かに点火して下さい。
香炉の正しい置き方について
多くの香炉には前後の向きがあります。足の3本ある香炉は、こちらから見て1本の足が見えるように置きましょう。