第10回 勝福寺寳燈展

「木工芸家・林鶴山さん追想展」を終えて

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●会  期   平成31年4月28日(土)・29日(日) 午前9時半~4時半

御 礼

伝統を今に生かし、時代の一歩先へとの願いを掲げ、平成22年に幕を上げた本展も無事に10周年記念展を無事終えることが出来ました。本展支援者とお手伝い頂いた皆様、そしてご来寺頂く皆様のお蔭と感謝申し上げる次第です。


住職が伝統工芸の世界に深く傾倒することになる出合いの
作品「念珠箱」(欅拭漆) 林鶴山作


林鶴山さんは私の「心の師」として仰いでまいりました。もともと(故)父が林さんと深い親交を頂いていたことの影響が大きいと思います。この作品は、修行で山籠りをした27歳の時に、御守として大切に扱った「念珠箱」です。私の心を支えた念珠箱が後に伝統工芸の世界に傾倒する由縁になるのですが、このことはチラシの裏面で記しておりますので是非PDFを開いてご覧下さい。

日本は「木の国」です。四季が織り成す自然現象は、すべての生命を味わい深く輝かせます。樹木は厳しい風雪を長年耐えているわけですから、内側から滲む木の心は奥ゆかしいものがあります。

その樹木の生命を材料に生かしたのが「木工芸」です。先ほども述べましたが、日本は木の国ですから木工芸は世界に誇れる芸術だと思います。とりわけ、林さんの作品は刳り物を得意とされ、樹齢が500年以上の欅を多く用います。美意識、美的感覚が鋭く、、尚且つ職人としての高度な技術を持ち合わせていますから、出来上がってくる作品に常々神秘的な魅力を感じてまいりました。

林さんの作品が秀でているところは、木の内面から湧き出る清らかな木の心を汲み取り、それが作品作りに表現されていることです。

それでは至極の木工芸、林鶴山追想展をご覧ください。

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4月27日、28日の両日とも天候に恵まれました。有難いことです。

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会場内。会場の雰囲気はいつも同じになるように心掛けています。

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午前9時。お茶会始めに、御本尊様へ「供茶の儀」。

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供茶の所作

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供茶を見守る関係者。

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そして御本尊様へ。

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縁側から会場内を彩るお花達。立派な竹の花器は、倉敷市真備町産です。

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会場内。林さんは木工芸のほかに絵を描くことも得意とされていました。今回は1月~12月までの季節の色紙を展示しました。

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八角食籠という蓋付の菓子器です。8本の稜線が、頂上で1つになる姿は美の極致です。その何とも言えない柔らかなアールの線と、影のことを林さんは、「影の線」と表現されていました。上品な線ということです。

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茶風台  硯屏

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盛器(果物などを盛ると、絵になります)     菓子器(組物)

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左側 桑拭漆「棗」   
右側 提盤(手提げの付いた器で、取手は刳り抜きです。)

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会場の一角に設けた「煎茶席」。勝福寺の総代さんによるおもてなし。

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このたびは倉敷ケーブルテレビ様の映像提供により、「林鶴山アーカイブ」を繰り返し、上映することが出来ました。大変に有難かったです。

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いつもお茶のお稽古を共にさせて頂いている檀家様の
ご婦人より寄花、生け込み頂いています。感謝。

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お茶席にて。今年も勝福寺子供茶道の小6の子供達がお点前を披露させて頂きました。平素のお稽古が、本展で実るのです。

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会場内。

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会場内。子供達によるお運び。

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お点前、バトンタッチ。男の子も女の子も、若い頃に茶道などの芸道文化に触れられるって素晴らしいことだなと思います。彼女もきっと、素敵な大人に成長されると思います。

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倉敷市立美術館の学芸員、前野嘉之さんに「林鶴山の世界」と題して記念講演を頂きました。岡山県に、日本を代表する木工芸家・林鶴山という偉大な人物がいたこと、伝統工芸界に遺した大きな功績、その事実を裏付ける的確なお話を頂きました。勝福寺ではこの貴重な公演を記録しました。必ず後世にお役立て頂ける日が来るでしょう。

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住職の故郷、倉敷市呼松から「呼松太鼓」をお招きし、寳燈展10周年の打ち上げとして太鼓の演奏を奉納頂きました。Gikoohに特別な思い入れがあるからかも分かりませんが、胸にじんじんと響き、涙腺がうるうるしていました。本演奏はyoutubeでupしていますから、ご覧下さい。かなり格好良いので、シェアしまくって下さい!

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会場の床の間。掛軸「山桜の図」は勿論、林鶴山さん。
生け花(御室流)は、Gikoohの兄に菖蒲を生けてもらいました。

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こうして、第10回寳燈展は無事に閉幕しました。